「ジャンル」と「カテゴリー」の違い!ブログやECで迷わないコツ

「ジャンル」と「カテゴリー」は、どちらも「種類」や「分類」を意味する言葉ですが、「芸術的な様式」か「客観的な枠組み」かという点に決定的な違いがあります。

なぜなら、「ジャンル」はフランス語由来で、主に芸術やエンタメ作品のスタイル(様式)を指すのに対し、「カテゴリー」は哲学用語に由来し、論理的で包括的な分類の枠組みを指す言葉だからです。

この記事を読めば、ブログの整理やECサイトの設計、日常会話での使い分けに迷うことがなくなり、相手に的確に意図を伝えられるようになります。

それでは、まず二つの言葉の最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「ジャンル」と「カテゴリー」の最も重要な違い

【要点】

「ジャンル」は映画や音楽など芸術・エンタメ作品の「様式・スタイル」による分類です。「カテゴリー」は客観的な基準に基づく「区分・範疇」で、階層構造(大・中・小)を持つことができる包括的な枠組みです。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目ジャンル (Genre)カテゴリー (Category)
中心的な意味様式、風俗、スタイル範疇、区分、枠組み
主な対象芸術、文学、エンタメ、映画商品、情報、科学、ブログ記事
分類の性質主観的・文化的・フラット客観的・論理的・階層的
語源フランス語(種、性)ギリシャ語(告発、範疇)
使い方の例ホラー映画、ロック音楽家電製品、食品、記事カテゴリ

一番大切なポイントは、「雰囲気やスタイル」で分けるならジャンル、「論理的な枠組み」で分けるならカテゴリーということですね。

例えば、本屋さんで「ミステリー」や「SF」と分けるのはジャンルですが、「文庫本」や「ハードカバー」と分けるのはカテゴリー(形式による区分)に近い感覚です。

なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「ジャンル」はフランス語で「種」や「性(ジェンダー)」を意味し、血統や生まれによる独特の性質を表します。「カテゴリー」はギリシャ語の「告発する」が語源で、アリストテレス哲学において事物を分類・定義するための根本的な枠組み(範疇)として使われ始めました。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、それぞれの語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「ジャンル」の成り立ち:フランス語の「種」

「ジャンル(genre)」はフランス語です。

もともとはラテン語の「genus(種、生まれ)」に由来し、「種類」や「種族」を意味します。

英語の「gender(ジェンダー/性)」と同じ語源を持っています。

18世紀頃から、文学や芸術の分野で「特定の様式やスタイル」を指す言葉として使われるようになりました。

つまり、その作品が持つ「生まれ持った雰囲気」や「血統」のような、独自のスタイルを分類するための言葉なんですね。

「カテゴリー」の成り立ち:哲学的な「範疇」

一方、「カテゴリー(category)」は英語ですが、語源は古代ギリシャ語の「kategoria(告発、非難)」です。

「広場で公に告発する」という意味から転じて、「物事の正体や本質を明らかにするための区分」という意味になりました。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、世の中のあらゆる事物を分類するための根本的な枠組みとして「カテゴリー(範疇)」という言葉を使ったのが始まりです。

そのため、カテゴリーには「客観的で論理的な枠組み」という、少し堅いニュアンスが含まれているのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

芸術やエンタメの話題では「ジャンル」を使い、ビジネスや情報の整理では「カテゴリー」を使うのが一般的です。ジャンルは「好み」を語る際に、カテゴリーは「所属」を示す際に適しています。

言葉の違いは、具体的なシーンで確認するのが一番ですよね。

エンタメ、ビジネス、そして日常会話での使い分けを見ていきましょう。

「ジャンル」を使うシーン

作品のスタイルや種類、個人の好みを指す場合に使います。

【OK例文】

  • 私はホラー映画というジャンルが苦手だ。
  • このバンドの音楽性は、ロックやジャズなど多様なジャンルが融合している。
  • 文学賞の選考対象となるジャンルは、純文学と大衆小説だ。

「カテゴリー」を使うシーン

商品を分類したり、情報を整理したりする枠組みを指す場合に使います。

【OK例文】

  • この商品は「家電」ではなく「インテリア」のカテゴリーに登録してください。
  • ブログの記事を「日記」「技術」「お知らせ」の3つのカテゴリーに分ける。
  • 台風の強さは、風速によって5つのカテゴリーに分類される。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、少し違和感のある使い方です。

  • 【NG】 あなたの好きなカテゴリーの映画は何ですか?
  • 【OK】 あなたの好きなジャンルの映画は何ですか?

映画や音楽などの芸術作品に対しては、「ジャンル」を使うのが自然です。「カテゴリー」と言うと、まるで商品を棚卸ししているような、事務的な響きになってしまいます。

【応用編】ECサイトやブログでの使い分けのコツ

【要点】

ECサイトやブログでは、「カテゴリー」を階層構造(親・子・孫)を持つメインの分類として使い、「ジャンル」を横断的な特徴を表すタグ的な分類として使うのが効果的です。カテゴリーは「場所」を、ジャンルは「属性」を表すと考えると整理しやすくなります。

ウェブサイト運営やブログ執筆をしていると、この二つの使い分けに悩むことがありますよね。

実務的な使い分けのヒントを紹介します。

カテゴリー:縦の分類(階層構造)

フォルダ分けのようなイメージです。

1つの商品は、原則として1つのメインカテゴリーに属します(パンくずリストになるもの)。

  • 大カテゴリー:家電
  • 中カテゴリー:キッチン家電
  • 小カテゴリー:冷蔵庫

このように、包含関係(入れ子構造)を作れるのがカテゴリーの特徴です。

ジャンル:横の分類(属性・タグ)

特徴やスタイルを表すラベルのようなイメージです。

1つの商品は、複数のジャンルを持つことができます。

  • ジャンルA:省エネ
  • ジャンルB:一人暮らし向け
  • ジャンルC:北欧デザイン

ある冷蔵庫は、「キッチン家電」というカテゴリーに属しながら、「省エネ」かつ「北欧デザイン」というジャンル(属性)を持つことができます。

サイト設計の際は、「1つしか選べないならカテゴリー、複数選べるならジャンル(タグ)」とルールを決めると管理しやすくなりますよ。

「ジャンル」と「カテゴリー」の違いを学術的に解説

【要点】

分類学や図書館情報学の視点では、カテゴリーは「相互排他的」で「包括的」な分類体系を目指します。一方、ジャンルは作品の持つ「レトリック(修辞的特徴)」や「社会的慣習」に基づく分類であり、境界線が曖昧で流動的であるという特徴があります。

ここでは少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

学術的な分類の世界では、「カテゴリー」はMECE(ミーシー:漏れなくダブりなく)であることが理想とされます。

例えば、生物学の分類(界・門・綱・目・科・属・種)は、厳密な階層構造を持つカテゴリーの代表例です。

ある生物が「犬」であり同時に「猫」であることはあり得ません。

一方、「ジャンル」は、芸術や文化の文脈で使われるため、定義が流動的で重複も許容されます。

例えば、ある映画が「SF」でありながら「ラブストーリー」でもあり、さらに「コメディ」の要素も持っている、ということは珍しくありません。

ジャンルは、作品の持つ「雰囲気」や「お約束(様式美)」によって緩やかにグループ化されたものであり、時代とともに新しいジャンルが生まれたり(例:サイバーパンク)、融合したり(例:ラブコメ)するのが特徴です。

より詳しい分類の概念については、国立情報学研究所などのデータベースで情報学や美学の文献を検索してみると、深い議論に触れることができます。

ブログの「カテゴリー」と「ジャンル」を混同して失敗した体験談

僕もブログを始めたばかりの頃、この「カテゴリー」と「ジャンル」の使い分けで失敗した経験があります。

雑記ブログを運営していたのですが、記事の分類を適当に決めていました。

「グルメ」「旅行」といった大きな枠組みの中に、「ラーメン」「温泉」「一人旅」「激辛」といった細かい項目を、すべて「カテゴリー」として登録してしまったのです。

記事が増えるにつれて、サイドバーのカテゴリー欄は50個以上に膨れ上がり、読者が見たい記事を探せない状態になってしまいました。

ある日、先輩ブロガーにサイトを見てもらうと、こう指摘されました。

「これ、カテゴリーとタグ(ジャンル)がごちゃ混ぜだよ。カテゴリーは『本棚』で、タグは『付箋』だと思って整理しなきゃ」

目からウロコでした。

「グルメ」や「旅行」は本棚(カテゴリー)として固定し、「激辛」や「一人旅」はその本に貼る付箋(ジャンル・タグ)として扱うべきだったのです。

慌ててサイト構造を見直し、「カテゴリー」は階層化してスッキリさせ、細かい特徴は「タグ」で管理するようにしました。

その結果、サイトの回遊率が上がり、読者からも「記事が探しやすくなった」と言ってもらえるようになりました。

この経験から、「構造を作るカテゴリー」と「特徴を示すジャンル」の役割分担の重要性を痛感しました。

皆さんも、情報の整理をする際は、まず「大きな箱(カテゴリー)」を用意してから、「中身の特徴(ジャンル)」を考えるようにしてみてくださいね。

「ジャンル」と「カテゴリー」に関するよくある質問

Q. 音楽は「ジャンル」ですか「カテゴリー」ですか?

A. 一般的には「音楽ジャンル」と呼びます(ロック、ポップス、クラシックなど)。音楽は芸術・エンタメの分野であり、様式やスタイルで分類するためです。ただし、CDショップの売り場案内などでは「邦楽」「洋楽」といった大きな枠組みを「カテゴリー」として扱うこともあります。

Q. 英語ではどう使い分けますか?

A. 日本語と同じく、芸術やスタイルに関しては “genre”(例:music genre)、一般的な区分や製品分類に関しては “category”(例:product category)を使います。ただし、日常会話では “What kind of…”(どんな種類の…)という表現で代用されることも多いです。

Q. Amazonの本の分類はなぜ「カテゴリー」と言うのですか?

A. AmazonなどのECサイトでは、本だけでなく家電や服などあらゆる商品を扱うため、システム全体を管理する用語として「カテゴリー」で統一していることが多いです。その中の「本」カテゴリーの下層に、「ミステリー」や「ビジネス」といった実質的な「ジャンル」が存在するという構造になっています。

「ジャンル」と「カテゴリー」の違いのまとめ

「ジャンル」と「カテゴリー」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本の違い:「ジャンル」は様式・スタイル、「カテゴリー」は区分・枠組み。
  2. 対象の違い:「ジャンル」は芸術・エンタメ、「カテゴリー」は商品・情報・論理。
  3. 構造の違い:「ジャンル」はフラットで重複あり、「カテゴリー」は階層的で重複なし(が理想)。

この違いを知っていると、趣味の話をする時は「ジャンル」、仕事で資料整理をする時は「カテゴリー」と、場面に応じた適切な言葉選びができるようになります。

これからは自信を持って、二つの言葉を使いこなしていきましょう。

さらに詳しいカタカナ語やビジネス用語の使い分けについては、メディア・文化系外来語の違いまとめもぜひ参考にしてみてください。

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