「講師」と「教諭」の違い！採用形態や給与の差を徹底解説

「講師」と「教諭」の違いは、ズバリ「正規雇用か非正規雇用か」という点にあります。

なぜなら、教諭は教員採用試験に合格した正規職員であるのに対し、講師は欠員補充などで期間限定で採用される非正規職員だからです。

この記事を読めば、給料や仕事内容、担任を持てるかどうかといった具体的な違いが分かり、学校現場の実情がスッキリ理解できます。

それでは、まず最も基本的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論：一覧表でわかる「講師」と「教諭」の最も重要な違い

まず、結論からお伝えしますね。

「講師」と「教諭」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

一番大切なポイントは、教諭は定年まで働ける「正社員」、講師は契約期間がある「契約社員・パート」のようなものだということです。

特に「常勤講師」は、産休や育休に入った先生の代わりとして働くケースが多く、仕事内容は教諭とほとんど変わりません。

一方で「非常勤講師」は、特定の授業だけを受け持ち、授業が終われば帰宅できるという働き方ですね。

なぜ違う？漢字の成り立ち（語源）からイメージを掴む

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「教諭」の成り立ち：「諭」が表す“導き”のイメージ

「教諭」の「諭（さと）す」という字には、「言葉で言い聞かせて、理解させる」「導く」という意味があります。

単に勉強を教えるだけでなく、生徒の人格形成や生活態度まで含めて指導するという、全人的な教育者としての役割が込められているのです。

正規の教員として、生徒の成長を長い目で見守る責任感が、この漢字からも伝わってきますよね。

「講師」の成り立ち：「講」が表す“解説”のイメージ

一方、「講師」の「講」という字は、「講義」や「講演」のように、書物の意味や学説を解き明かして教えることを指します。

ここから、特定の知識や技術を解説し、伝える役割というイメージが浮かび上がります。

学校現場における講師も、基本的には「授業の穴埋め」や「専門科目の指導」という形で、スポット的に知識を提供する役割からスタートしている言葉だと言えるでしょう。

具体的な例文で使い方をマスターする

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

学校現場・ビジネスシーンでの使い分け

立場や契約内容を明確にする必要がある場面では、厳密に使い分けます。

【OK例文：教諭】

• 彼は今年度の採用試験に合格し、晴れて4月から教諭として赴任する。
• 3年B組の担任である佐藤教諭が、進路指導を担当します。
• 教諭としての経験を積み、将来は管理職を目指したい。

【OK例文：講師】

• 産休に入った先生の代替として、半年間常勤講師を務めることになった。
• 私は週に3回、書道の非常勤講師として高校に通っています。
• 講師登録をしていた教育委員会から、欠員補充の連絡が来た。

日常会話での使い分け

保護者や生徒の視点では、あまり区別せずに使われることもあります。

【OK例文】

• うちの子の担任の先生は、まだ若手だけど熱心な教諭だそうです。
• 部活の顧問は、外部から来ている講師の先生が担当してくれている。

これはNG！間違えやすい使い方

意味は通じることが多いですが、厳密には正しくない使い方を見てみましょう。

• 【NG】教員採用試験に落ちてしまったので、来年は教諭として働く予定だ。
• 【OK】教員採用試験に落ちてしまったので、来年は講師として働く予定だ。

採用試験に受かっていない場合、正規雇用の「教諭」にはなれません。

この場合は「講師（臨時的任用教員など）」として働くことになります。

言葉一つで、その人の置かれている立場や雇用の安定性が全く違って伝わってしまうので、注意が必要ですね。

「講師」と「教諭」の違いを学術的に解説

ここでは、もう少し専門的な視点から、法律上の定義における両者の違いを深掘りしてみましょう。

学校教育法という法律では、学校に置かれる職員の種類とその職務が規定されています。

【教諭の定義】

教諭は、「児童（生徒）の教育をつかさどる」と規定されています。

「つかさどる」とは、責任を持ってその任務にあたるという意味であり、教科指導だけでなく、生徒指導、進路指導、学校運営など、学校教育全般における中心的な役割を担います。

これには、普通免許状等の教員免許状を有していることが必須条件となります。

【講師の定義】

一方、講師については「教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する」あるいは「教諭の職務の一端に従事する」とされています。

具体的には、常勤講師は「教諭に準ずる」としてフルタイムで働き、担任を持つことも法的に認められています。

しかし、非常勤講師は「職務の一端」として、特定の授業のみを担当することが想定されています。

この法的区別は、給与体系や身分保障（雇用の安定性）に直結しており、教諭は地方公務員法等の適用を受けて強い身分保障があるのに対し、講師は任期付きの採用であるため、次年度の雇用が保証されていないという大きな違いがあります。

詳しくは文部科学省のウェブサイトなどで、教職員の職務規定を確認してみると良いでしょう。

僕が「講師」として働きながら感じた現場のリアルな体験談

実は僕も、教員採用試験に一度落ちてしまい、1年間だけ中学校で「常勤講師」として働いた経験があります。

4月1日、緊張しながら職員室に入った時の空気感は今でも忘れられません。

席次は正規の先生たちと全く同じ並びで、与えられた机も椅子も同じ。さらに驚いたことに、校長先生から「じゃあ、1年2組の担任をお願いします」といきなり言われたのです。

「えっ、講師でも担任を持つんですか？」と心の中で叫びましたが、現場では人手不足が深刻で、正規か非正規かなどと言っていられない状況でした。

生徒たちから見れば、僕は完全に「先生」でした。

「先生、部活見に来てよ！」「進路のことで相談があるんですけど」と頼られるたびに、嬉しさと同時に猛烈なプレッシャーを感じました。

なぜなら、僕には「来年の仕事がないかもしれない」という不安が常にあったからです。

職員室で隣の席のベテラン教諭が「来年の修学旅行の下見どうする？」と楽しそうに話している横で、僕は「来年、自分がここにいる保証はないんだよな…」と、ふと孤独を感じることがありました。

仕事内容は教諭と全く同じフルタイムで、残業も部活指導もバリバリこなしているのに、ボーナスの明細を見た時や、次年度の更新書類を書く時にだけ、「ああ、自分は“講師”なんだ」と現実を突きつけられるのです。

この経験から、「講師」と「教諭」の違いは、日々の仕事風景よりも、その背後にある「将来への安心感」の有無にこそあるのだと痛感しました。

その後、採用試験に合格して「教諭」になった時、仕事内容は変わりませんでしたが、心の中にあった重たい霧が晴れたような、不思議な安堵感を覚えたのを記憶しています。

「講師」と「教諭」に関するよくある質問

講師から教諭になることはできますか？

はい、可能です。講師として働きながら教員採用試験を受け、合格すれば次年度から教諭として採用されます。自治体によっては、講師経験者枠として試験の一部が免除される特例措置を設けている場合もあります。

給料に大きな違いはありますか？

常勤講師の場合、月給制で教諭と近い水準の給与が出ますが、昇給の幅や退職金の有無、福利厚生の面で教諭の方が優遇されています。非常勤講師の場合は授業した時間分だけの時給制となるため、教諭に比べて収入は大幅に少なくなりがちです。

生徒や保護者は違いを知っていますか？

ほとんどの場合、生徒や保護者は誰が教諭で誰が講師かを知りませんし、区別もつきません。名札や学校便りでも一律「教諭」と表記されるケースも多く、教育サービスを受ける側からすれば、どちらも同じ「頼れる先生」として認識されています。

「講師」と「教諭」の違いのまとめ

「講師」と「教諭」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

1. 最大の壁は雇用形態：教諭は「正規（無期）」、講師は「非正規（有期）」で契約期間がある。
2. 仕事内容はほぼ同じことも：特に常勤講師は、担任や部活も持ち、現場では教諭と同じように働く。
3. 生徒からは見分けがつかない：どちらも「先生」と呼ばれ、教育者としての責任の重さに変わりはない。

もしあなたが教育現場に関わるニュースを見たり、進路を考えたりする時は、この「雇用の安定性」という見えない違いを思い出してみてください。

言葉の背景にある制度の違いを知ることで、学校という場所が少し違って見えてくるかもしれませんね。

さらに社会の仕組みや言葉の違いについて深く知りたい方は、社会・関係に関する言葉の違いまとめ記事もぜひご覧ください。