「presented by」と「presents」は、どちらも「提供」や「主催」を表しますが、「提供者(スポンサー)」が名前の「前」に来るか「後」に来るかという決定的な違いがあります。
なぜなら、「presents」は「A(提供者)が提供する」という能動態であり、「presented by」は「(作品は)Aによって提供される」という受動態だからです。
この記事を読めば、映画のオープニングやイベントのポスターでどちらを使うべきかが一瞬で判断できるようになり、英語のクレジット表記で恥ずかしい間違いをしなくなります。
それでは、まず二つの表現の最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「presented by」と「presents」の最も重要な違い
提供者(社名)を先に書きたいなら「presents」、作品名やイベント名を先に書きたい(または省略して社名だけ後ろに書きたい)なら「presented by」を使います。映画の冒頭は「presents」、ラジオの提供読みは「presented by」が一般的です。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの表現の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | A presents(プレゼンツ) | presented by A(プレゼンテッド バイ) |
|---|---|---|
| 文法 | 能動態(Aが提供する) | 受動態(Aによって提供される) |
| 主語(A)の位置 | 前(A presents B) | 後(B is presented by A) |
| ニュアンス | Aが主導して開催・上映する | この作品はAの提供でお送りする |
| よくあるシーン | 映画のオープニング、ライブのタイトル | ラジオの提供読み、イベントのポスター下部 |
一番大切なポイントは、「社名 presents」か、「presented by 社名」かという語順の違いですね。
例えば、「ソニー」が提供する場合、「Sony presents」か「Presented by Sony」になります。「Sony presented by」や「presents Sony」は間違いです。
なぜ違う?受動態と能動態の文法構造からイメージを掴む
「present」は「差し出す、贈る、上演する」という意味の動詞です。「presents」は「(誰かが)上演する」という動作に注目し、「presented by」は「(誰かによって)上演される」という状態に注目します。
なぜ同じ単語なのに形が変わるのか、英語の文法構造を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「presents」の構造:AがBを贈る
「presents」は動詞「present」の三単現(三人称単数現在形)の形です。
主語(S)+動詞(V)+目的語(O)の形を取ります。
[S: スポンサー] presents [O: 作品・イベント]
「このスポンサーが、この作品をお届けします!」という、提供者が主体となって自信を持って送り出すような、力強いイメージがあります。
「presented by」の構造:BはAによって贈られる
「presented by」は、受動態「be presented by」の「be動詞」が省略された形、あるいは過去分詞による後置修飾です。
[S: 作品・イベント] (is) presented by [行為者: スポンサー]
「この作品は、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」という、作品そのものを主役に立てつつ、それを支えるスポンサーを紹介するような、説明的なイメージがあります。
具体的な例文で使い方をマスターする
映画の冒頭などで「〇〇社がお送りします」と高らかに宣言する時は「presents」、ラジオやテレビの最後に「この番組は〇〇社の提供でした」と伝える時は「presented by」が自然です。
言葉の違いは、具体的な使用シーンで確認するのが一番ですよね。
エンターテインメントやビジネスシーンでの使い分けを見ていきましょう。
「presents」を使うシーン
提供者や主催者の名前をドーンと出したい時に使います。
【OK例文】
- Disney presents a Pixar film.(ディズニー提供、ピクサー映画。)
- Red Bull presents Air Race.(レッドブル主催、エアレース。)
- Taro Yamada presents “The Party”.(山田太郎主催「ザ・パーティー」。)
「presented by」を使うシーン
作品やイベントのタイトルに添えて、スポンサーを表記する時に使います。
【OK例文】
- This program is presented by Toyota.(この番組はトヨタの提供でお送りします。)
- Summer Festival 2025, presented by Local Bank.(夏祭り2025、提供:地方銀行。)
- Webinar: AI Marketing, presented by Chigai-Labo.(ウェビナー:AIマーケティング、主催:違いラボ。)
これはNG!間違えやすい使い方
非常によくある間違いですが、プロっぽさを損なうので注意しましょう。
- 【NG】 Presents by Sony.(プレゼンツ・バイ・ソニー??)
- 【OK】 Presented by Sony.(ソニー提供。)
- 【OK】 Sony presents.(ソニー・プレゼンツ。)
「presents」は動詞の現在形なので、「by(~によって)」とは一緒に使いません。「presents by」という表現は文法的に誤りです。
【応用編】似ている言葉「sponsored by」などとの違いは?
「presented by」は作品の上演や提示に関わる「提供・主催」を指しますが、「sponsored by」は主に資金面での「後援・協賛」を指します。「powered by」は技術提供、「produced by」は制作指揮を表します。
クレジット表記には「presented by」以外にも様々な表現があります。
それぞれの役割の違いを整理しておきましょう。
- Sponsored by:資金を出して支援している場合。(協賛)
例:スポーツ大会のスポンサー。 - Powered by:技術やシステム、エンジンなどを提供している場合。
例:Webサイトのシステム、検索エンジン。 - Produced by:制作を統括・指揮している場合。(プロデュース)
例:音楽アルバム、イベントの企画制作。 - Supported by:後援や支援をしている場合。Sponsoredより少し広い意味で使われることも。
例:行政の後援、物品提供。
「presented by」は、これらの中でも「冠スポンサー(タイトルスポンサー)」のような、イベントや番組全体の顔となる提供者に使われることが多い最も格式高い表現の一つです。
「presented by」と「presents」の違いを文法的に解説
「presents」は三単現のsがついた能動態の動詞です。一方、「presented by」は過去分詞「presented」に行為者を示す「by」が続いた受動態の構造です。省略されている主語や動詞を補って考えると理解しやすくなります。
ここでは少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。
1. A presents B
これは完全な文(S+V+O)です。
「A(主語)が、B(目的語)を、現在上演する(述語)」という意味です。
現在の事実を述べているため、躍動感があります。
2. (B is) presented by A
これは受動態の文、あるいは過去分詞句による修飾です。
「(Bは)Aによって上演される(された)」という意味になります。
タイトルロゴの下などに小さく「Presented by A」と書かれている場合、文法的には「(This title is) presented by A」という文の主語とbe動詞が省略されていると考えられます。
あるいは、タイトルという名詞を後ろから修飾する(後置修飾)形として、「Aによって提供される(タイトル)」と捉えることもできます。
どちらにせよ、「by」があるなら、その前は過去分詞「presented」でなければなりません。
自作動画のクレジットで「presents by」と書いてしまった体験談
僕も動画編集を始めたばかりの頃、この英語のクレジットで恥ずかしい失敗をしたことがあります。
友人の結婚式の余興ムービーを作ることになり、ハリウッド映画のようなカッコいいオープニングを目指しました。
黒い背景に、白い文字でドーンと自分の名前を出したかったんです。
「〇〇(僕の名前)の提供でお送りします」という意味で、こうテロップを入れました。
“Presents by TARO YAMADA”
自分では「プレゼンツ・バイ・タロウ」と読んで、完璧だと思っていました。
しかし、式当日に参列していた帰国子女の友人から、後でこっそり指摘されました。
「オープニング、カッコよかったけど、『Presents by』って書いてあったね。あれだと『タロウによってプレゼントします』みたいな、ちょっと変な英語になっちゃうよ。正しくは『Presented by』か『Taro Yamada Presents』だね」
顔から火が出るかと思いました。
「プレゼンツ」という響きと、「バイ(~によって)」という単語を、なんとなく組み合わせてしまっていたんです。
文法を無視して雰囲気だけで英語を使うと、大事な場面で赤っ恥をかくことになります。
それ以来、クレジットを入れる時は「社名ならPresents、byを使うならPresented」と呪文のように唱えて確認しています。
皆さんも、カッコいい動画を作る時は、スペルだけでなく文法チェックも忘れずに。
「presented by」と「presents」に関するよくある質問
個人の名前でも「presents」を使っていいですか?
はい、使えます。YouTube動画や自主制作のイベントなどで「(Name) presents」とするのは一般的です。ただし、少し気取った、演出がかったニュアンスになります。
「in association with」とはどういう意味ですか?
「~と提携して」「~と共同で」という意味です。メインの提供者(presents)の次に重要な協力会社や、共同制作のパートナーを紹介する際によく使われます。
「brought to you by」との違いは?
「brought to you by」は「presented by」とほぼ同じ意味で、「~がお届けします」というニュアンスです。特にラジオやテレビ番組のスポンサー紹介で、より口語的、親しみやすい表現として使われることがあります。
「presented by」と「presents」の違いのまとめ
「presented by」と「presents」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本の違い:社名が前なら「presents」、社名が後なら「presented by」。
- 文法の違い:「presents」は能動態、「presented by」は受動態。
- 使い分け:どちらも「提供・主催」を表すが、ロゴの配置や文脈に合わせて選ぶ。
この違いを知っていると、映画のエンドロールやイベントのポスターを見る目が少し変わりますよね。
「あ、ここは『presents』を使ってるから、この会社が主体なんだな」と読み取れるようになります。
これからは自信を持って、正しい英語表現でクレジットを使いこなしていきましょう。
さらに詳しい外来語やビジネス英語の使い分けについては、メディア・文化系外来語の違いまとめもぜひ参考にしてみてください。
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