「追記」と「追伸」、どちらも後から書き足すことですが、ビジネスシーンでは業務的な補足か、私的なメッセージかで明確に使い分ける必要があります。
「追記」は本文の不足を補うための業務上の追加記述であり、「追伸」は手紙などで本文とは別の話題を添える情緒的なものですね。
この記事を読めば、ビジネスメールで「追伸」を使って相手に失礼な印象を与えるリスクを回避し、洗練された文書作成ができるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「追記」と「追伸」の最も重要な違い
「追記」は本文の内容を補足・訂正する業務的な記述で、ビジネス文書全般で使われます。「追伸」は本文とは別の話題や私的な挨拶を添えるもので、目上の人へのビジネスメールでは避けるのがマナーです。
まず、結論からお伝えします。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、ビジネスでの使い分けはバッチリです。
| 項目 | 追記(ついき) | 追伸(ついしん) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 本文の後に、さらに書き加えること | 手紙の終わりに、書き添える文 |
| 情報の扱い方 | 本文の補足、訂正、追加情報(業務的) | 本文とは別の話題、私信、念押し(情緒的) |
| 主な用途 | 報告書、議事録、ビジネスメール、Web記事 | 手紙、親しい間柄のメール、セールスレター |
| ビジネスメール | 使用OK(重要な変更点など) | 目上には避ける(「なお」などで代用) |
簡単に言うと、情報のアップデートや補足をするのが「追記」、ちょっとした余談やプラスアルファの気持ちを添えるのが「追伸」というイメージですね。
例えば、会議の案内メールで持ち物の変更を知らせるのは「追記」、親しい同僚に「ランチ行こうね」と添えるのは「追伸」となります。
なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「追記」の「記」は事実を記録する意味。「追伸」の「伸」は「申し述べる」の意味を持ちます。漢字の意味から、前者は「記録の追加」、後者は「言葉の追加」というニュアンスの違いが生まれます。
なぜこの二つの言葉にマナー上の違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「追記」の成り立ち:後から「記」録する
「追記」の「記」は、「記す(しるす)」、つまり記録することですよね。
これは、事実や情報を客観的に書き留めるという意味合いが強い漢字です。
したがって、「追記」とは漏れていた情報や、後から発生した事実を追加して記録するという、実務的なニュアンスになります。
感情よりも「情報」にフォーカスしている言葉です。
「追伸」の成り立ち:さらに「伸」べる
一方、「追伸」の「伸」は、「のべる」とも読みます。
手紙文などで使われる「陳謝いたします(=述べて謝る)」の「陳(のべる)」に近い意味で、ここでは「申し上げる」「気持ちを伝える」といったニュアンスを含みます。
手紙の結び(敬具など)の後で、「あ、そうそう、これも言いたかったんです」と言葉を付け足す行為が「追伸」です。
「書き忘れたことを付け足す」という性質上、整った形式を重んじるビジネス文書や目上の人に対しては、「構成が不十分」「失礼」と捉えられるリスクがあるのです。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスメールでは「追記」を使って情報の更新を伝えます。「追伸」は親しい間柄でのコミュニケーションや、マーケティング(P.S.)で効果を発揮します。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
相手との関係性と情報の重要度を意識すると、使い分けは簡単ですよ。
【OK例文:追記】
- 【追記】会議の開始時間が10時から11時に変更になりました。
- 議事録に漏れがありましたので、以下の通り追記いたします。
- ※2025年10月20日追記:キャンペーンは終了しました。
【OK例文:追伸(親しい間柄・マーケティング)】
- 追伸:来週のゴルフ、楽しみにしています!(親しい取引先へ)
- 追伸:この特典は3日以内の限定オファーです。(メルマガなどで)
- 追伸:最近急に寒くなりましたので、ご自愛ください。(手紙で)
日常会話での使い分け
日常のLINEや手紙でも、ニュアンスは異なります。
【OK例文:追記】
- ブログ記事を更新して、新しい感想を追記したよ。
- (グループLINEで)ノートに集合場所を追記しておきました。
【OK例文:追伸】
- 母への手紙の最後に「追伸:ミカン送ってくれてありがとう」と書いた。
- (友人へのメールで)P.S.(=追伸) 写真も添付するね!
これはNG!間違えやすい使い方
意味は通じますが、ビジネスでは評価を下げかねない使い方です。
- 【NG】(上司への報告メールで)追伸:A社の件、見積もりが確定しました。
- 【OK】(上司への報告メールで)なお、A社の件、見積もりが確定しました。
重要な業務報告を「追伸」として書くと、「ついで」のような軽い扱いになり、見落とされる危険性もあります。また、目上の方に対しては「書き忘れ」の印象を与えかねないため、「なお」や「申し添えますが」などを使いましょう。
【応用編】ビジネスで重宝する「なお書き」との違い
ビジネスメールで「追伸」の代わりに使うべきなのが「なお書き」です。「なお、~」という接続詞を使うことで、本文の流れを断ち切らずに補足情報をスマートに追加できます。
ビジネスメールで「追伸」を使いたいけれど、失礼にならないか心配……そんな時に最強の代替案となるのが「なお書き」です。
「なお、次回の会議は~」「なお、添付資料のパスワードは~」のように、接続詞の「なお」を使って文章を続ける手法ですね。
「追伸」は手紙の構造上、結語(敬具など)の外側に置かれる「おまけ」ですが、「なお書き」は本文の一部として扱われます。
そのため、相手に必ず読んでほしい補足情報や、条件などを伝える際には、「追伸」よりも「なお書き」の方が確実で丁寧な印象を与えます。
「追記」ほど堅苦しくなく、「追伸」ほどラフではない、絶妙なバランスが「なお書き」なんですね。
「追記」と「追伸」の違いを学術的に解説
テキスト構造の観点から見ると、「追記」は情報の更新や修正を含む「動的な記録」の性質を持ち、「追伸」は完結したメッセージに対する「静的な付加」の性質を持ちます。デジタル文書では「追記」が主流となります。
文章の構成要素という視点から、両者の役割を深掘りしてみましょう。
「追記(Postscriptではない、Addendum的な要素)」は、情報の完全性を高めるための機能を持っています。
特にWebコンテンツやデジタル文書においては、情報は常に更新される可能性があり、「追記」によって過去の記述を残しつつ最新情報を提示する(リビジョン管理)という役割を果たします。
これは、情報の信頼性を担保するために不可欠なプロセスです。
一方、「追伸(Postscript)」は、手紙文化における「形式的な枠組み」の外側にある発話です。
伝統的な手紙形式(拝啓〜敬具)が確立しているからこそ、その枠から外れた「追伸」が、個人的な親密さや、あえて強調したいメッセージとしての効果を持つのです。
国立国語研究所などの資料を見ても、現代のビジネスコミュニケーションにおいては、形式張った手紙文化から効率重視のデジタル通信へと移行する中で、「追伸」の役割が縮小し、「追記」や「箇条書き」による情報伝達が主流になっている傾向が見て取れます。
僕が重要な連絡を「追伸」にして大失敗した新人時代の体験談
僕も新人時代、この「追記」と「追伸」の重みの違いを理解しておらず、冷や汗をかいた経験があります。
クライアントへ提出する大事な提案書のメールを送ったときのことです。
送信直前に、上司から「あ、提出期限の件、1日延びても大丈夫だと伝えておいて」と言われました。
僕はメールの本文を修正するのが面倒で、最後に「追伸:提出期限ですが、1日延長可能です!」と付け足して送信しました。
「P.S.」みたいでちょっとオシャレかな、なんて軽い気持ちだったんです。
ところが、クライアント担当者はその「追伸」を見落としていました。
「期限厳守のために徹夜しましたよ……」と後日言われ、平謝りする羽目に。
相手は忙しい中、本文の要件だけを拾い読みしていたため、署名の後ろにあった「追伸」まで目を通していなかったのです。
ビジネスにおける「追伸」は、ノイズ(雑音)として処理されるリスクがあると痛感しました。
もし「【追記】重要:期限について」と件名や冒頭に書くか、本文中に「なお」を使って組み込んでいれば、こんなミスは防げたはずです。
それ以来、業務に関わる内容は絶対に「追伸」にせず、本文の中で明確に伝えるようにしています。
「追記」と「追伸」に関するよくある質問
Q. 目上の人に「追伸」を使うのは失礼ですか?
厳密には失礼にあたるとされることが多いです。「書き忘れ」や「ついで」といった印象を与える可能性があるためです。ただし、相手との関係性が深く、時候の挨拶や相手の体調を気遣う私的なメッセージを添える場合(例:「追伸:急に寒くなりましたのでご自愛ください」)は、許容されることもあります。迷ったら「なお」を使いましょう。
Q. お悔やみ状(香典返しなど)で「追伸」を使ってもいいですか?
これは明確にNG(マナー違反)です。「追伸」は「返す」「繰り返す」ことを連想させるため、不幸が重なることを忌み嫌うお悔やみの場では使いません。同様に「追って」「再び」などの言葉も避けるのがマナーです。
Q. 英語のメールで「追記」や「追伸」はどう書きますか?
「追伸」は「P.S. (Postscript)」を使います。ビジネスメールでも、少しカジュアルなトーンや、個人的なメッセージを添える時によく使われます。「追記」として情報を追加する場合は、「Note:」や「Update:」を使うと分かりやすいですね。
「追記」と「追伸」の違いのまとめ
「追記」と「追伸」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 目的の違い:追記は「情報の補足・更新」、追伸は「私的な添え書き」。
- ビジネスメールのマナー:目上の人に「追伸」は避け、「なお」などを使うのが無難。
- 漢字のイメージ:「記」は記録(ファクト)、「伸」は言葉(気持ち)。
- リスク管理:重要な要件は「追伸」にせず、本文に「追記」するか組み込む。
この使い分けを意識するだけで、あなたのメールは「分かりやすく、礼儀正しい」ものに変わります。
相手への配慮を示すためにも、ぜひ適切な言葉を選んでみてくださいね。
言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、ビジネス敬語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。
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