「nerves」と「nervous」は、どちらも「神経」や「緊張」に関連する言葉ですが、「名詞(モノ・状態)」か「形容詞(様子)」かという決定的な違いがあります。
なぜなら、「nerves」は「神経(の複数形)」や「緊張状態そのもの」を指す名詞であり、「nervous」は「緊張している」「神経質な」という状態を表す形容詞だからです。
この記事を読めば、英会話や英文メールで「緊張しています」と伝えたい時に、正しい品詞を選んで自然な表現ができるようになります。
それでは、まず二つの言葉の最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「nerves」と「nervous」の最も重要な違い
「nerves」は名詞で「緊張・不安・神経」そのものを指します。「nervous」は形容詞で「緊張している・神経質な」という主語の状態を説明します。「I am nervous(私は緊張している)」とは言えますが、「I am nerves」とは言えません。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | nerves (ナーブス) | nervous (ナーバス) |
|---|---|---|
| 品詞 | 名詞(複数形) | 形容詞 |
| 意味 | 神経、度胸、イライラ、緊張状態 | 緊張した、神経質な、臆病な |
| 文法的な位置 | 主語や目的語になる(have nerves) | be動詞の後や名詞の前(be nervous) |
| 使い方の例 | calm my nerves (神経を静める) | I am nervous. (私は緊張している) |
一番大切なポイントは、「緊張(というモノ)」ならnerves、「緊張した(状態)」ならnervousということですね。
「緊張を持っている(have nerves)」とは言えますが、「私は緊張そのものだ(I am nerves)」と言うと変な英語になってしまいます。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
語源はラテン語の「nervus(腱、筋肉、神経)」です。そこから、身体の器官としての「神経(nerve)」という名詞が生まれ、その複数形「nerves」が精神的な「緊張状態」を指すようになりました。「nervous」はその形容詞形で、「神経に作用している状態」を表します。
なぜ同じ語源なのに使い方が変わるのか、それぞれの成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「nerves」の成り立ち:神経の束と緊張感
「nerves」の元となる単数形「nerve」は、もともと体の中にある「神経」そのものを指します。
神経は感覚を伝えたり、筋肉を動かしたりする重要な器官です。
そこから転じて、神経が張り詰めている状態、つまり「緊張」「不安」「イライラ」といった精神状態を指して、複数形の「nerves」が使われるようになりました。
また、逆に「図太い神経」という意味で「度胸」や「厚かましさ」を表すこともあります。
「nervous」の成り立ち:神経が反応している様子
一方、「nervous」は、名詞「nerve」に形容詞を作る接尾辞「-ous(~の多い、~に満ちた)」が付いた言葉です。
つまり、「神経が過敏になっている」「神経が張り詰めている」という様子を表します。
ここから、「緊張している」「あがっている」「怖がっている」という意味で使われるようになりました。
日本語の「ナーバス」は「落ち込んでいる」というニュアンスで使われることがありますが、英語の「nervous」はもっと「ドキドキ・ソワソワしている」状態を指します。
具体的な例文で使い方をマスターする
「nervous」は「I’m nervous(緊張している)」のように人の感情を説明するのによく使われます。「nerves」は「get on my nerves(イライラさせる)」のように慣用句で使われることが多いです。
言葉の違いは、具体的なシーンで確認するのが一番ですよね。
日常会話での使い分けを見ていきましょう。
「nerves(名詞)」を使うシーン
緊張感やイライラを「モノ」として扱う表現で使います。
【OK例文】
- The noise is getting on my nerves.(その騒音が私の神経に障る=イライラする。)
- I need a drink to steady my nerves.(緊張をほぐすために一杯飲む必要がある。)
- She has nerves of steel.(彼女は鋼の神経=度胸を持っている。)
「nervous(形容詞)」を使うシーン
「~である」「~な人」と状態や性質を説明する時に使います。
【OK例文】
- Don’t be nervous about the interview.(面接のことで緊張しないで。)
- I always get nervous before a speech.(スピーチの前はいつも緊張する。)
- He is a nervous person.(彼は神経質な人だ。)
これはNG!間違えやすい使い方
品詞を間違えると、文法的に破綻してしまいます。
- 【NG】 I am very nerves.(私はとても「神経」です??)
- 【OK】 I am very nervous.(私はとても緊張しています。)
「I am ~」の後は形容詞が来るのが基本です。
【応用編】日本語の「ナーバス」と英語の「nervous」のズレ
日本語で「ナーバスになっている」と言うと、「傷つきやすい」「落ち込んでいる」「神経質になっている」というネガティブで静的なイメージが強いですが、英語の「nervous」は、大事なイベント前などの「緊張してドキドキしている」「不安で落ち着かない」という動的な状態を指すことが多いです。
日本人がよく使う「ナーバス」と、英語の「nervous」には少しズレがあります。
日本語の「ナーバス」
- 「最近、彼女はナーバスになっているからそっとしておこう。」
- 意味:機嫌が悪い、傷つきやすい、鬱っぽい。
英語の「nervous」
- “I’m so nervous about tomorrow’s exam!”
- 意味:明日の試験が心配でドキドキする! プレッシャーを感じる!
もし、海外で「落ち込んでいる」と伝えたい時に “I’m nervous.” と言うと、「何に緊張しているの? 何か怖いことでもあるの?」と心配の方向性がズレてしまうかもしれません。
落ち込んでいる時は “depressed” や “sensitive” などが適しています。
「nerves」と「nervous」の違いを文法的に解説
「nervous」は形容詞なので、名詞を修飾するか(nervous breakdown)、補語として主語の状態を説明します(I am nervous)。「nerves」は可算名詞の複数形であり、動詞の目的語や主語として機能します。単数形の「nerve」は「神経(解剖学)」や「図太さ」という意味で使われます。
ここでは少し専門的な視点から、文法的な違いを整理してみましょう。
単数形「nerve」と複数形「nerves」
「nerve」という名詞は、単数か複数かで意味が変わる面白い単語です。
- nerve (単数):解剖学的な「神経」一本、または比喩的な「図太さ」「厚かましさ」。
例:You have a lot of nerve!(いい度胸してるな!/よくもまあ厚かましい!) - nerves (複数):精神的な「緊張状態」「神経過敏」。
例:It’s just nerves.(ただの緊張だよ=心配しすぎだよ。)
形容詞「nervous」
「nervous」は、精神的な緊張だけでなく、身体の神経系そのものを指す場合もあります。
- Nervous system:神経系(中枢神経系など)
- Nervous breakdown:神経衰弱
文脈によって「メンタル的な緊張」なのか「生物学的な神経」なのかを判断する必要があります。
面接で「I have nervous」と言ってしまった体験談
僕も英語を習い始めた頃、この使い分けができずに恥ずかしい思いをしたことがあります。
海外でのアルバイト面接の時です。
面接官に「どうですか、調子は?」と聞かれ、素直に「緊張しています」と伝えたかったんです。
そこで僕は、緊張を「持っている」という感覚でこう言いました。
“I have nervous.”
面接官は一瞬きょとんとして、優しく笑って訂正してくれました。
「You mean, you are nervous? Or you have nerves?」
顔から火が出るかと思いました。
「have(持っている)」を使うなら名詞の「nerves」でなければならず、「nervous(形容詞)」を使うなら「I am」でなければならなかったのです。
「I have nervous」は、文法的に「私は『緊張した』を持っています」という謎の文章になってしまっていたんですね。
この失敗から、「感情や状態」は「I am (形容詞)」で表すのが基本だと骨身に沁みて覚えました。
皆さんも、とっさの一言には気をつけてくださいね。
「nerves」と「nervous」に関するよくある質問
「Get on my nerves」はどういう意味ですか?
「私の神経に障る」、つまり「イライラさせる」「カンに障る」という意味の慣用句です。「He gets on my nerves.(彼にはイライラさせられる)」のように使います。
「nervous」と「anxious」の違いは?
どちらも「不安」や「緊張」を表しますが、「nervous」は一時的な緊張(面接前など)に使われることが多く、「anxious」はより強い心配や懸念、あるいは「切望する(~したくてたまらない)」というニュアンスを含むことがあります。
「What a nerve!」は良い意味ですか?
基本的には悪い意味です。「なんて図太い神経だ!」「よくもまあ抜け抜けと!」という、相手の厚かましさに対する非難や驚きを表すフレーズです。文脈によっては「いい度胸だ」と感心する場合もありますが、皮肉であることが多いです。
「nerves」と「nervous」の違いのまとめ
「nerves」と「nervous」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 品詞の違い:「nerves」は名詞、「nervous」は形容詞。
- 使い分け:「緊張(モノ)」ならnerves、「緊張している(状態)」ならnervous。
- 注意点:「I am nervous」が基本。「I have nerves」とはあまり言わない(文脈による)。
同じ「神経」から来た言葉でも、使い方一つで「緊張」になったり「図太さ」になったり、英語は面白いですよね。
これからは自信を持って、自分のドキドキする気持ちを正しい英語で伝えていきましょう。
さらに詳しいカタカナ語や英単語の使い分けについては、メディア・文化系外来語の違いまとめもぜひ参考にしてみてください。
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